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Kurizz-Laboのホームページに連動する私的日記です。

最適化(Optimize)すると・・

久々にオーディオしています。

長らくお世話になったTADのTD-4001ドライバーと別れ、昨年の暮れにドイツBMS社の身軽な精鋭ドライバー(2Wayタイプ)を迎えました。

そして、TADの時にも少し感じていた「弦楽器のユニゾンにおけるなめらかさの不足」がBMSで一気に解消するかと期待していましたが、音を出して3ヶ月・・・そろそろ本調子のはずが・・・・

ジャズやポップス系のソースでは全く気にならないのに、クラシック等の弦楽器の持続音がやはり気になります。
BMSの鮮度の高い音に参って、「あばたもえくぼ」の時代が続きましたが、それが終わると少しの欠点が大きな欠点として浮上してきました。

ここ暫くはこれもあって(あれもあって)システムから少し遠ざかり、冷静に思考実験を重ねてきました。
そんな折、あるDEQXユーザーさんからパワーアンプのゲインを10dBほど落としたいという相談を受けました。
中域用ユニットが高能率のため、他の帯域用ユニットと音圧レベルが合わないからというのが理由でした。

出来るだけ音質に影響しない固定アッテネーターの計算表とともに、はたと思いついて手持ちのトランスをお送りしました。

トランスBOX-2個
<マッチングトランス>

写真のマッチングトランスは真空管のOTLやTRのパワーアンプとスピーカーユニットの間に挿入してマッチングをとるためのものです。
1次側と2次側のコイルを密着して巻いたバイファイラ巻という特別な構造のトランスを使っています。
電気的な仕様は、巻線比が3:1、インピーダンスは80Ω:8Ω、容量は30W(30Hz)です。

このトランスの効能としては、
・アンプの動作(負荷)が軽くなり歪みが下がり、全体の特性が良くなる。
・SPユニットに常時再生されるアンプの残留ノイズが10dB低下する。
・アンプのDC成分が完全にカットされてユニットにバイアスが掛からなくなる。
・万一アンプから大きなDC成分が出てもユニットは保護される。
・トランス挿入前と同じ音量の時、アンプは10dB(10倍)高いレベルで動作する。
・アンプから取り出せる出力が1/10になるため、能率の悪いスピーカーには向かない。
・数万円/1台のコストが掛かる。

などなどのメリット(デメリット)がある、面白いトランスです。

試聴用にお送りした先では一週間ほど聴いてもらいました。
その結果、残留ノイズの低減効果はあるが、音に元気が無くなる感じがするという事でした。
アンプのゲイン調整はお送りした計算表を元に抵抗式アッテネータを自作されることになりました。

そして、先月末に戻ってきたトランスを見て閃きました。
そうか、そういう運命だったのか!思考実験の結論が出ました。
(実は現物を見て気が付いただけじゃないか・・・スイマセン!)

音楽を比較的小音量で聴いているときのパワーアンプの出力を計算してみました。
前提は省きますが、能率が118dB/W/mのBMS-4592NDドライバーに入る音楽パワーは0.0000025W程度であることが判りました。
思わずゼロを数えてしまいますが、最近の例では、シーベルトとミリシーベルト、そしてマイクロシーベルトの関係を思い出して下さい。

沢山の解説記事で既にお馴染みだと思いますが、それぞれが1,000倍の関係にあります。
今回の場合も、
0.0000025Wは、=0.0025mW =2.5μW となります。
「2.5マイクロワット」・・・とてつもなく小さなパワーです。

現在使用しているアンプはALLIONの名器、S-200で定格出力は200Wです。
S-200は極めてS/Nの良いアンプですが、それでも2.5μWの信号レベルと比べると無視できない状態となります。

BMS 4592NDドライバーを家庭で使う場合、パワーアンプの出力は1Wもあれば十分です。
ですから、小さな3極管シングルのパワーアンプで十分です。
これもいずれはトライしてみますが、例の「あばた」以外は大変気に入っている組み合わせなのでまずは現状を改善する方向で考えてみます。

そしてここに運命のいたずらが働きました。

パワーアンプとドライバーユニットの関係を最適化するには
・トランス挿入前と同じ音量の時、アンプは10dB(10倍)高いレベルで動作する。
という特長がこの場合、極めて有効に働くのではないか・・・・

思考実験の結論が出ました。

トランス

早速、先週の金曜日にトランスをセットアップ。
トランスまでのケーブル(ASUKAのAS-27A)やその他のシステムは全て同じです。
トランスを入れるとパワーアンプ以降のゲインが10dB低下しますので、S-200のゲインを10dBアップして他の帯域と合わせます。(元々マルチアンプ用に設計されたS-200は入力のゲイン調整だけで済みます。)

DEQX以降のシステム変更ですので、改めてスピーカーの測定を行います。
ただし、デバイダーの設定等の条件は以前と全て同じにしてあります。
改めてルーム測定をして定在波を補正し、全てが30分ほどで完了です。

さて、その音は・・・・

絶句です。顔が、そして心が爽やかに微笑んでいます。劇的な変化です。

というと、以前がよほどひどかった感じですが、乱暴に言えば100点満点で2~3点が改善されただけです。
でも、ここが私にとってはいつしか全体の10~20点にも匹敵する悩みとなっていました。
そしてこの悩みの原因は残念ながらDEQXで解決できるものではありませんでした。
一つ入れれば全てが良くなると言う魔法の機械はありません。

・・・・ 弦の美しいユニゾンが目の前を流れていきます。
「あばたもえくぼ」のあばたそのものが消滅したのです。
アナログディスクは・・・CDは・・・棚から出てこなかったディスクが次から次に・・

そして、ジャス系のソースにも絶大な効果がありました。

今までは若干刺激的にも響いていたある女性ボーカルも、しっとりと、そしてスピード感と静かなエネルギーを伴って、圧倒的な魅力で迫ってきます。

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音質の評価について、あまり強調した言い方はしてきませんでした。
それが、今回は一気にここまで言ってしまいました。
相当嬉しかったのだと思いますが、今日はここまでとしておきましょう。

システム図
<トランスを入れたシステム図>

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ふと現実に目を向けたとき、新聞にこんなコラムを見つけました。
3日(日)の朝日新聞朝刊に載った一文です。
「我が意を得たり」という感じでした。

そして、今、日本が海洋汚染の元凶となってしまう可能性が出てきました。
明日が恐い。
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2011-04-04 : オーディオトピックス : コメント : 3 : トラックバック : 0
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私もBMSユーザーです。
いつも良い記事をありがとうございます。

私も昨年からBMS4592NDを使い始めて、最初はFW305バックロードホーンとのレベル差にとまどいました。

レベル差はNWを使用しいている場合でも同じように影響が出るでしょうか。

いずれマルチチャンネル化をしようと準備中ですが、何かアドバイスがあればお教えください。

よろしくお願いします。
2012-10-20 17:18 : 神田 泰夫 URL : 編集
Re: 私もBMSユーザーです。
申し訳ありません。コメントの存在に気付きませんでした。ありがとうございました。
BMSを採用されたとのことで、親近感を覚えます。

再生レベルの差についてですが、
FW305の能率が95dB/w/m、BMS4592NDは118dB/w/mで差は23dBとなります。
同じ音量を出すために必要なパワーの差は200倍となり、例えばBMSに1Wを入れた場合、FW305には200Wを入れて音圧が揃うという計算です。
通常聞く音量レベルではFW305に1Wを入れても大きすぎるくらいですが、この場合、BMSにはその1/200の5mWでバランスが取れることになり、ヘッドフォン用のアンプでも十分過ぎるくらいです。

LCネットワークの場合は、BMS用に1/200のアッテネーターを入れることになります。
FostexのR100Tアッテネーターは21dBまで絞れますが、まだ足りません。

例えば下のURLにあるような、ステップダウントランスと組み合わせる方法もありですね。
http://www.ishinolab.com/modules/doc_merchandise/original/masters/m-bf8030.html
このトランスを使うと約10dBダウンしますので、R100Tと組み合わせると調整範囲内となります。

もし使われる場合は、トランスの後にATTをいれるのがベストです。

栗原。
2012-12-27 08:36 : Kurizz-Labo(クリズラボ) URL : 編集
BMS ユーザー
栗原様

アドバイスありがとうございます。  NWは金田式6db/octを使用し、ATTは市販がないので、計算して抵抗を組み合わせたが、バックロードホーンの効果を無視していたので、再度調整が必要になりました。  お勧めのトランスが良いのでしょう。
今は、安価なD級アンプとチャンデバでマルチアンプを試用しておりますが、いつかDEQXなどを聴いてみたいと思います。
2013-01-12 16:32 : 神田 泰夫 URL : 編集
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プロフィール

栗原信義

Author:栗原信義

クリズラボの店主です。

自家焙煎のこだわり珈琲と、

何も足さない何も引かない

正確なサウンド!

あと10年、オーディオを中心に

感性と科学の両面から追求して

いきたいと思います。

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